Milindaの書斎

読んだこと、考えたことなどを書き留めます。外国語はたまに。

読みました 24


大西雅雄『朗読学』を読みました。

初版は1940年だそうですが、2015年に国書刊行会が復刻版を出しています。私が読んだのはこの復刻版です。

朗読学

朗読学

  • 作者:大西雅雄
  • 発売日: 2015/04/27
  • メディア: 単行本


元は80年以上前の本ですから、素人の私が見ても「これは古くなっているのではないか?」と感じた箇所はちょいちょいあります。

まず、脳の働きについての記述は古びている可能性が高いでしょう。カットしてもよかったのではないでしょうか。

その他に言語学や心理学などの学問も進歩しているでしょうから、「現代の主流」とされるような見解とは少しズレが出ているのかもしれません。


さて、こうした書き方からも察せられると思いますが、本書には色々な分野の話が出てきます。

文学、言語学、心理学、脳機能など、従来は各分野でバラバラに考えられていたことを繋げて「朗読とは何か」を体系的に捉えようとしたのが本書の試みです。
さらには狭義の朗読を超えて「読むとはどういう行いか」と、もう一つ抽象的な次元まで議論を進めようとしています。

このような試みは貴重だし、だからこそ復刊されたのではないでしょうか。少なくとも私は読めてよかったと思いました。感動すら覚えました。

自分にとって長年の疑問だった「読むときに頭の中で音声化してもいいのか問題」にも、一定の答えが出せそうです。

朗読学

朗読学

  • 作者:大西雅雄
  • 発売日: 2015/04/27
  • メディア: 単行本



以下、自分用メモ。

  • 「文字→音韻→心象」の連合がスムーズであれば問題はない。「文字→音韻」の連合を無理やり断って「文字→心象」の連合に変えようとする必要はない。つまり、無理して音声化をやめる必要はない。
  • 問題があるとしたら「文字→音韻」の連合があることではなく「音韻→心象」の連合がスムーズでないこと。ここの連合ができていないと書き言葉どころか話し言葉の理解に困難が生じる。俺みたいなコミュ障のことですすいません。
  • また心象の内容が一つの感覚(視覚、聴覚etc)に偏っていることも問題。
  • 一般意義と臨時意義の違いも重要。前者は辞書的な意味、世間で通用する意味。後者は文脈上の意味や、その人独自の用法。この違いに敏感になるほうが、無理して音声化をやめようとするよりよほど建設的だろう。