Milindaの書斎

読んだこと、考えたことなどを書き留めます。外国語はたまに。

読みました 9


馬野周二『衰亡の法則』を読みました。
一言で説明するなら「工学の発想を歴史学に応用して、歴史に内在する論理を明らかにしようとした本」でしょうか。書かれたのは1980年代です。

人類の文明を4つの時期に分けること、そこに空間的な要素*1を絡めて考えること等は面白いと思いました。
著者に言わせると西ヨーロッパと日本はともにユーラシア大陸の端にあるから同じ文明圏、ユーラシアの奥にあるロシア(ソビエト)は遠く離れたアメリカ大陸と同じ文明圏になります。方言研究の周圏論みたいな感じですね。ロシアって中東からそんなに遠いか?
日本の近代化が上手くいったのはヨーロッパと同じ第Ⅲ文明だからで、米ソ冷戦は第Ⅳ文明同士の争いだ、ということになるわけです。

「企業はエネルギーを消費して低エントロピーを売っている」という定義も、正しいかどうかはともかく明快だなとは思います。

端的にいって、読むのが楽しい本でした。久しぶりに「そうか、読書って楽しいんだな」と感じることができました。
この「楽しい」は「そういう見方もあるか」「それは考えたことがなかったなぁ」という気持ちであって、普通の意味での「感動」とは違うし、結論に同意したわけでもないのですが……。

結果だけいえば、未来予測としては大外れの本だったのでしょう。きちんとした歴史知識がある人から見たら、突っ込み所の多すぎるトンデモ説なのかもしれません。しかし「歴史にも自然科学のような法則があるはずだ。それが分かればきっと『未来の歴史』が書けるはずだ」という著者の意気込みは、私にはまぶしく見えたのです。

衰亡の法則 (PHP文庫)

衰亡の法則 (PHP文庫)

*1:第Ⅰ文明があったメソポタミアやエジプトからの距離。