Milindaの書斎

読んだこと、考えたことなどを書き留めます。外国語はたまに。

蔵書整理 5 歴史の終わり


フランシス・フクヤマ『歴史の終わり』を読みました。ただし知的生き方文庫の上巻のみです。続きも読もうと思っています。

「歴史の終わり」といっても終末論ではなく、すべての政治体制は民主主義に行き着くのではないか、みたいな話です。

有名な本なので、もう批判も出尽くしていると思います。
私が感じたことを一点だけ書き留めておくと「民主主義って当たり前のものじゃないんだな」ということです。

物質的に豊かになったから次は自己実現だ、というのは民主主義が当たり前のものと思っている人の発想であって。
独裁国家全体主義国家だったら「物質的に豊かになったから次は政治に参加させろ」なんですよね。

人間には欲望や理性だけでなく「気概」がある、とフクヤマはいいます。気概とはプライドや矜持、あるいは「認められたいという思い」のことです。
欲望が物質的な豊かさで満たせたとして、次は気概を満足させたくなります。そのためにどうするかというと、人はまず参政権を欲しがります。
「夢」や「なりたい自分」を追求するのはその後の話なのです。逆にいうと、物質的に豊かで政治にも参加できているならば、後は各人がばらばらに自己実現を目指すようになるので、政治体制に大きな変革は起こりません。

そういう意味で、民主主義が政治体制の終着点であるというのは大筋で正しいのかな、と。
別に民主主義になったら生きる悩みがすべて消えるとか、民主主義国家がユートピアであるなんてことはないのですが、国が発展したら民主主義に行き着くというのは概ね正しいのかな、と。


あと付け加えるなら、物質的に恵まれていない状態で民主主義の理念だけ植えつけようとしてもダメなんだろうなぁ、とか。それを見て「○○人は劣った民族だから民主主義が根づかないのだ」って言っちゃうのは不当なんだろうなぁ、とか。