Milindaの書斎

読んだこと、考えたことなどを書き留めます。外国語はたまに。

Composition 104 プロ倫


いわゆる名著というものは、「内容を知識として身につける」ことよりも「考えの道筋をたどる」ことに意味があるのだと思っています。なので、ゆっくりゆっくりと読んでいます。頭脳にきちんと負荷がかかっているという実感もあります。
ただ、飽きてくるのも事実ですね(笑)。以前のように色々な本を取り上げていたほうが、気分的には楽しかったです。リフレッシュの方法については少し考えないといけません。

さて、前回は「資本主義という言葉の意味を広くとれば、世界中に資本主義があったことになる」という話でした。今回はその続きです。

 Now, however, the Occident has developed capitalism both to a quantitative extent, and (carrying this quantitative development) in types, forms, and directions which have never existed elsewhere.
All over the world there have been merchants, whole-sale and retail, local and engaged in foreign trade.
Loans of all kinds have been made, and there have been banks with most various functions, at least comparable to ours of, say, the sixteenth century.
Sea loans (NOTE 4), commenda, and transactions and associations similar to the Kommanditgesellschaft(NOTE 5), have all been widespread, even as continuous businesses.


NOTE 4;
The sea loan, used in maritime commerce in the Middle Ages, was "a method of insuring against the risks of the sea without violating the prohibitions against usury. . . .
When certain risky maritime ventures were to be undertaken, a certain sum . . . was obtained for the cargo belonging to such and such a person and capitalist.
If the ship was lost, no repayment was exacted by the lender; If it reached port safely, the borrower paid a considerable premium, sometimes 50 per cent."
Henri Sée, Modern Capitalism, p. 189.―TRANSLATOR'S NOTE.


NOTE 5;
A form of company between the partnership and the limited liability corporation.
At least one of the participants is made liable without limit, while the others enjoy limitation of liability to the amount of their investment.―TRANSLATOR'S NOTE.

(拙訳)
 しかし、いまや西洋は世界中のどこでも見られなかったほど資本主義を発展させている。量的にも、質的にもだ。質(経済活動の種類・形態・方向)がさらに量を拡大している。
 もちろん商人というものは世界中にいた。卸売りもいたし、小売りもいた。近場と取引する者から、外国と取引する者までいた。
 それにあらゆる形の融資も世界中にあった。あらゆる機能の銀行もあった。それらは少なくとも16世紀の西洋と同じ水準に達していた。
 シー・ローン(英訳注4)、コンメンダ*1合資会社(英訳注5)などに似た取引や組織は地球上の広い範囲で見られるし、(一度の投機で解散するのではなく)継続的な活動さえしていた。


英訳注4
 シー・ローンとは、中世の海上交易に用いられた保険の一種である。高利貸は禁止されていたので、シー・ローンもそれに抵触しないようになっている。
 危険な航海を請け負う業者は、ある程度の金額を積み荷の保険として借りた。
 もし船が難破したら、このお金は返済しなくてもよかった。その代わり、無事に航海を終えて戻ってきたら貸主に高額な心付けを払わなくてはならなかった。時には貸主の取り分が50パーセントになることもあった。
 以上はアンリ・セー『近代の資本主義』による。——英訳者による注。


英訳注5
 合資会社(Kommanditgesellschaft)とは、組合と有限会社の中間のような会社の形態である。
 少なくとも一人の社員は無限責任を負うが、それ以外の者は出資額に応じた責任しか負わなくてよい。——英訳者による注。



【雑感】
注まで訳していたら、あまり話が進みませんでした(笑)。
世界中のあらゆる場所に商人はいたし、金融取引もあったし、銀行もありました。ならば、それらは今日のわれわれが資本主義と呼んでいるものと何が違うのでしょうか……というところに、話が進んでいくはずです。たぶん。

*1:コンメンダについては Composition 102 をご覧ください。