Milindaの書斎

母国語と外国語を行ったり来たりしながら、自分なりに「書くこと」を追求したいと思います。

Composition 102 プロ倫


だんだんと話が核心に近づいてきました。「合理精神は西洋に特有のものだろ? 音楽も建築もそうじゃん。あと官僚制も」という前振りから、資本主義そのものに焦点が移っています。過去2回の内容を軽くまとめておくと、

  • 資本主義的であるとは、交換から利潤を得ようとすることである。
  • 企業の資産はすべて交換から利潤を得るためにある(目的が一つだから、色々な資産をまとめてバランスシートに載せることができるのだ)。

という感じでしょうか。今回はその続きからです。

The important fact is always that a calculation of capital in terms of money is made, whether by modern book-keeping methods or in any other way, however primitive and crude.
Everything is done in terms of balances; at the beginning of the enterprise a initial balance, before every individual decision a calculation to ascertain its probable profitableness, and at the end a final balance to ascertain how much profit has been made.
For instance, the initial balance of a commenda (note 3) transaction would determine an agreed money value of the assets put into it (so far as they were not in money form already), and a final balance would form the estimate on which to base the distribution of profit and loss at the end.

NOTE 3;
Commenda was a form of mediaeval trading association entered into ad hoc for carrying out one sea voyage.
A producer or exporter of goods turned them over to another who took them abroad (on a ship provided sometimes by one party, sometimes by the other) and sold them, receiving a share in the profits.
The expenses of the voyage were divided between the two in agreed proportion, while the original shipper bore the risk.
See Weber, "Handelsgesellschaften im Mittelalter", Gesammelte Aufsätze zur Sozial- und Wirtschaftsgeschichte, pp. 323-8.――TRANSLATOR'S NOTE.

(拙訳)
 資本主義において重要なのは、資本が常にお金に換算される仕組みがある、ということだ。近代的な複式簿記でなくてもいいし、どれだけ原始的で未熟でもいい。
 すべてが貸借一致の原則に従っていればいいのだ。会社を立ち上げる時には、もちろん借方と貸方が釣り合っている。一つ一つの意思決定をするたびに、儲かる可能性がどれだけあるかを計算する。そして営業期の終わりに、どれだけ利益が出たかを確かめるため再び借方と貸方を一致させる——という具合に。
 例えば、コンメンダ(英訳注3)の取引はどのように記録されるだろうか。事業を始める段階では、バランスシートが積み荷の価値(お金に換算した価値)を表しているはずだ。そして最後の段階、取引を終えてコンメンダが解散する段階では、利益や損失の分配額を表しているはずだ。

英訳注3
 コンメンダとは中世における貿易結社の一形態であり、航海のたびに結社を作るものである*1
 商品の生産者または輸出者は、他の誰かに海外への販売を委託する。委託された者は、その商品を海外に持って行って売る(船を借りる相手も場合によってまちまちだ)。そして利益を生産者たちと分配する。
 航海の費用は両者の合意によって折半した。委託者側もリスクを負っていたのだ。※ここは while がどんな意味合いなのか分からなかった。
 ウェーバーの「中世の貿易会社」『社会経済史に関する論文集』323〜328ページも参照のこと*2。——以上、英訳者による注。


【雑感】
ウェーバー

  • 価値をお金ではかること
  • 貸借一致の原則

を資本主義の特徴として重視します。しかし「形は複式簿記でなくてもいい」とも言っています。
帳簿のつけ方という表面的な部分ではなく、価値を何ではかっているか、その価値を最大化するために合理的に行動しているか、が重要なのでしょう。ウェーバーの考える「資本主義の精神」を理解する上で、けっこう大事な記述だと思います。

しかしコンメンダ commenda という字面を見たらコメダ珈琲を思い出しますね。え、思い出しませんか? 東海地区の読者さんはどうお感じですか?

*1:航海を終えたら解散する。現代の会計学で言う「ゴーイング・コンサーン」をしないということ。

*2:邦訳ではどの本に当たるのかよく分からない。