Milindaの書斎

読んだこと、考えたことなどを書き留めます。外国語はたまに。

Composition 59 古今和歌集


少し気分を変えて和歌を英訳してみましょう。
先の記事にも書きましたが、私は短歌を英訳する時に「リズムの移し替え」を目指します。少なくとも当面の目標はそうです。そのために音節数をできるだけ「3・4・3・4・4」に調整します。「5・7・5・7・7」のまま英語に移すのは音節とモーラの混同だと考えているからです。

リズムの移し替えに主眼があるので、訳文自体に詩的な美しさはないこと、むしろ説明的な訳になっていることはあらかじめお断りしておきます。

また、私は英語の音韻については素人で、色んなことが分かりません。都合によって冠詞や前置詞を音節に含めたり含めなかったりしています。アクセントの配列もめちゃくちゃだと思いますし…。

さて事前の言い訳はこれくらいにしておいて。

3 春霞たてるやいづこみよしのの吉野の山に雪はふりつつ

※数字は収録歌に付けられた通し番号。以下同様。

Where does spring
haze rise? It's the first
day of sprig,
but it's snowing
on Yoshino Yama.

現代日本語に重訳すると「春霞はどこに出てるの? 立春なのに吉野山に雪降ってるよ」という感じでしょうか。「Yoshino Yama」は日本語で読むと5モーラありますが、英語で読む時には3音節になると解釈しています(Yoshi-noya-ma、Yoshin-oyam-a という感じで)。

14 鶯の谷よりいづるこゑなくば春くることをたれかしらまし

The sing of a
nightingale does
not sound, so
no one can see
spring will come on.

ウグイスをナイチンゲール nightingale 訳しましたが、本当は別種の鳥だそうです。辞書にはもう一つ bush warbler という訳語も載っていたのですが、ナイチンゲールのほうがいいですよね。

20 梓弓おしてはるさめけふふりぬあすさへふらば若菜つみてむ

It's raining.
If it will rain
tomorrow, too,
we'll go picking
young herbs on the field.

「梓弓おして」までは序詞と解釈し、訳出していません。
この歌はたいてい「今日は雨が降った。明日も降れば若菜摘みができるだろう」と現代語訳されます。私もそれを基に英訳したのですが、実のところ「明日も雨が降る→若菜摘みができる」の論理的関係がよく分かっていません。雨が降ったら若菜摘みができない、なら分かりますが、なぜ「できる」のでしょうか。雨が降るのは気候が春になった証だから、ということなのでしょうか。

23 春のきる霞の衣ぬきをうすみ山風にこそみだるべらなれ

Haze looked like
sheer silk which had
the thin weft.
Mountain breeze blew
and rumpled it.

「春のきる」は擬人化した表現なんですが、それは訳出しませんでした。
春と霞は和歌でよくセットになる言葉です。私がいま書いている小説でもメインキャラの名前になるので、覚えておいてください(誰に言ってるんだ)。


……まあ、時間が経ってから見直すと「クソみたいな訳だったな」ということになるのでしょう。でも、何もしないままだと何の経験も得られません。これからも色んなことを試していきたいと思います。