Milindaの書斎

読んだこと、考えたことなどを書き留めます。外国語はたまに。

自分用メモ32 音節とモーラと短歌英訳


短歌を英訳する方法について考えてみよう。

短歌は「31音節で詠まれた詩」だと言われる。しかし、それは古い説明である。今日の言語学では音節とモーラを区別する。短歌を構成しているのは31の音節ではなく、31のモーラだと解するべきである。

よく知られたように、短歌のモーラは「5・7・5・7・7」という順番で並んでいる。これを音節の数に直すと「3・4・3・4・4」となる。もちろん他にも無数の直し方があるだろうが、こうするのが自然ではないかと思う。少なくとも短歌を英語に訳すときには「3・4・3・4・4」にするとよい。

試しに次の歌を訳してみる。

袖ひぢて 結びし水の こほれるを 春たつけふの 風やとくらむ
紀貫之

一昔前の文学者なら、英語に訳しても音節の数が「5・7・5・7・7」のままになるよう工夫するだろう。しかし、先にも述べたようにそれは古いやり方である。音節とモーラを混同している。
私は英訳した後の音節数が「3・4・3・4・4」となるようにしてみよう(冠詞が入ったせいで実は5音節になっている箇所もあるが、まあ置いといてくれ)。

Spring might come.
The wind thaw the river
iced over,
where I dipped up
the water last year.

これはあくまで音節数の調整だけに主眼を置いた訳だ。単語のチョイスが「詩的」でないとか、説明的すぎるとか、こんな少ない単語数では何が言いたいか分からないとか、色々な欠点はあるだろう。しかし音節数を「3・4・3・4・4」と定めたことによって短歌のリズムを英語に移し替えることができたと思うのだが、いかがだろうか。