81~84番の暗唱に挑戦した。ここまでが万葉集巻一である。
※底本の巻数。岩波文庫版の巻数のことではない。
「山辺の御井」は未詳だが、とにかく伊勢斎宮の近くにあった水場のことらしい。
「御井を見に行ったら、斎宮に仕える娘さんたちにようけ会ったわ。ゲッヘッヘ」という歌だ。いやゲッヘッヘは違うかもしれないけど。
82 うらさぶる 心さまねし ひさかたの 天のしぐれの 流れあふ見れば
「さまねし」とはどういう感情なのかいまいち不明。ただ直前に「うらさぶる」とあること、万葉集において「しぐれ」は常に寂しい風景として詠まれることを考えると、やはり「寂しい」に近い感情なのだろう。解説には「思いが多く、しきりであること」とある。
遠くの空に雨が見えるのを「ひさかたの天のしぐれの流れあふ」と描写するのは秀逸だと思う。
83 海中に 沖つ白波 竜田山 いつか越えなむ 妹があたり見む
解説では旅愁歌となっている。「竜田山を越えて、我が家にいる妻の様子を見たいなあ」という感じか。
しかし私は「竜田山の向こうにあるという妻のふるさとに行ってみたいなあ」と解してみたい気がする。
84 秋さらば 今も見るごと 妻恋ひに 鹿(か)鳴かむ山そ 高野原の上
「秋になると、ご覧のように鹿が恋しがって鳴くのです。そういう山なんですよ高野原は」という感じか。
解説によると、ここでの鹿の鳴き声は寂しいものや不吉なものとして捉えられていない。むしろ『詩経』の影響で、鹿の声を聞きながら客人と楽器を奏でることが風流だと考えられていた可能性があるという。
また、秋になるたびに必ず鹿が鳴くでしょう、という「予祝」の意味合いがあるともいう。